戻るっ 前へ

第4話 誇りを賭けた戦い

うな「…なんとかオーラがおさまったみたいだな…」
うなはオークション会場に向かった。
途中、オーラを浴びた人々の異様な光景。
 「すいかが食べたーい!!」
ゾンビを見ているより気味が悪かった。
ふとステージ上を見ると、あの二人が息を切らしながら睨み合っていた。
うな「まだやってたのかよ!!いい加減に目を覚ませ!」
3人は辺りを見回したが、すいかはどこにもない。
あるのは、足元の赤い物体だけである。
うな「で、すいかが無いみたいだけど…?」
王様「すまんすまん。ワシが巨大化したときにつぶしてしもうた。」
うなとすいか帽は愕然とした。
うな「何ー!?もうすいか無いのか!?
   …じゃあもうこの町に用は無いな。行こうぜ、すいか帽。」
うなとすいか帽は互いにため息を付いて、歩き始めた
その時、遠くから声が聞こえた。
  「その勝負、待った!!」
声の出所を見ると、老人が会場の入口に立ちふさがっていた。
老人「ワシはポワンの町の町長じゃ。
   今の戦いの続きを「驚邏大二凶殺」にて執り行う!!
   場所は、古式にのっとり、東の試練の塔じゃ!
   両者、2人代表を決めて試練の塔に来るように!!」
うなとすいか帽は今のセリフをほとんど理解できなかった。
しかし隣にいる初物大王は鼻息が荒くなった。
王様「驚邏大二凶殺・・・男として生を受けたからには引き下がるわけにはいくまい。
   ワシは先に行くでな。試練の塔で待っとるぞ。逃げるでないぞ」
彼は足早に町を出ていった。
うな「なんでこうなるの?
   ・・・なぁ、すいかが無いなら行く必要もないよな?」
すいか帽は数回余分に頷いた。
老人「お前達も出るんじゃろ?
   こんな若いのに驚邏大二凶殺に挑戦できるなんて恵まれとるぞ。
   是非とも挑戦しなされ。遠慮することはない」
うな「遠慮じゃなくて・・・!」
言い終わる前に、老人は2人を引っ張って試練の塔へ向かった。
2人は逃げようと必死に藻掻いたが、
老人の予想以上の腕力に太刀打ちできなかった。


試練の塔――
太古の昔、善と悪の神が戦ったとされる場所。
男達は、ここで戦うことでどちらが善と悪かを決める…
しかしそれも、今では昔の話。
驚邏大二凶殺と名の付いたイベントのせいだろうか。
しかし、プライドをかけて戦うことに変わりはない。
兵士「初物大王御一行は右、すいか帽子御一行は左だ。
   上まで上ったら、係の者の話を聞くように、いいな?」
うなとすいか帽子はため息をついた。
何故ここに自分達がいるのか全く理解できない。
王様「では、ワシは先に行くからな」
初物大王の隣には神官がいる。彼が初物大王のペアだろう。
初物大王は右の通路へ入っていった。
暫くしない内に快音が響き渡る…
兵士「何をぐずぐずしているんだ。早く行け!」
すいか帽子とうなは強引に通路へ導かれた…
うな「仕方ないな。さっさと終わらせるか。」
そう言って、2人は魔物をなぎ倒しながら進んでいった…

二人はついに最後の階段を見つけた。
うな「よっしゃ、行くぜすいか帽!」
すいか帽はうなに続いて上っていく。
多くの魔物と戦っていたので、かなりテンションが上がっている。
思ったより長い階段を上りきると、強い日差しが照りつけていた。
兵士「これより、驚邏大二凶殺、御作法を説明する!
   両者にはそれぞれ岩を押して頂上まで登ってもらう。
   両者が頂上についたらそこで決闘を行う」
王様「これを押して上るのか…。」
神官「しかし王様、この坂は…」
王様「うむ、どうやら簡単には済まされないようだな」
すいか帽とうなは唖然とした。
40度はあろうかという急な坂。これではただ登るだけでも重労働だ。
うな「どうやって押すんだ?
   こんな坂で岩を押すなんて無謀じゃないか?」
そう言ってる間に、すいか帽は岩を押し始める。
すると、うなが思っていた以上に軽快に登り始める
うな「…お前ってすごい力だな。」
遅れてうなもすいか帽の横に並び、押すのを手伝った。
そして、なんとか頂上まで登り切った。
兵士「では、戦っていただきます。」
王様「ここでケジメをつけようではないか」
神官「私は神官魔法の使い手。覚悟して下さいね。」
うな「さっさとけりをつけさせてもらうぜ。」
王様「何?すいかがたべたい?
   ワシも食べたかったさ、初物のすいか。」
4人はそれ以上何も言わずに睨み合いを続けた。
そして係員の兵士の指示に従い、十分な間合いを取った。
兵士「ではこれより試合を始める!!」

言うが早いか、うなは初物大王に向かって走り出した!
うな「まずはお前からだ!」
うなは持っている剣で初物大王を斬りつける。
が、たちまちその傷が消えていく…
うな「何!?」
神官「私の神官魔法を侮らないで下さいね」
うな「そういうことか…
   すいか帽!あの神官を先に倒せ!」
それを言われる前に、すいか帽は神官のすぐ後ろに潜んでいた。
神官「え…!?」
すいか帽は長剣を一振りした。
神官「か、加護!!」
剣が弾き返された。だが、一緒に光の粒が弾け飛んだ。
間髪入れずにもう一振りすると、神官は深い傷を受けて倒れた。
王様「なかなかやるのう。だが、わしはそんな柔じゃないぞ!」
うな「どうだかな」
うなが持っていたのは紫色の物体――毒牙である。
王様「何!?それは…!」
うな「へへへ、さっき手に入れたんだ。くらえ!」
うなの毒牙は弧を描き、初物大王の腕に直撃した。
王様「ぐあぁぁーーーっ!!」
初物大王の身体を毒が蝕み始める。
うな「今だ、すいか帽!」
すいか帽はまたもや剣を一振りで王様を倒した。
起き上がってこないのを確認して、剣をしまった。
兵士「この勝負、すいか帽子御一行の勝ち!」
うな「よっしゃぁ!勝ったぜ!」
数人の兵士が急ぎ足で4人を魔法で回復する
王様「負けてしまった・・・
   ではワシは次の初物を求めるとするかのう」
王様と神官は足取り重く帰っていった。
兵士「いいですか?家に帰るまでが驚邏大二凶殺ですよ」
うな「・・・じゃあ帰るか、すいか帽」
2人は塔を降りていった。
2人が出会った洞窟の反対側には、まだ大地が広がっていた。

戻るっ 次へ