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第14話 混沌
壁から現れた巨大な機械「クックIH」。
鬼 「このクックIHは、あらゆる物をミンチにしてしまう、自走式クッキングカッターだ!
今からお前らをミンチにしてやる!
さて、最初にミンチになるのは誰だ?」
子鬼はクックIHの上で「天のカミサマの言うとおり」を唱えている。
鬼 「よし、最初のターゲットはりんご夫人だ!
折角りんごにしてやったのに可哀想なヤツだな。
料理開始!!」
子鬼はクックIHの赤いスイッチを押した。
すると、クックIHの刃が回転し、竜巻のような巨大な斬撃があぷるに襲いかかった!
うな 「あぷる、危ない!」
うなはすかさずあぷるをかばってあぷるを突き飛ばした。
しかし次の瞬間、うなは見るも無惨なミンチとなってしまった
うな 「うわあぁぁぁーーーーーーー!!!!」
かるび「キャーッ!わ、私のハラミ肉が!」
あぷる「うなさん!うなさん…」
鬼 「どうだ、俺様のクックIHのパワーは!」
しかし、うながミンチにされたことで3人の怒りを買ってしまった。
子鬼はこの凄まじい殺気に包まれてうまく動けなくなる。
あぷる「うなさんの敵討ちです!」
かるび「食べ物の恨みは恐ろしいですよ!」
2人は止めどなく溢れる涙を拭いもせず子鬼とクックIHに歩み寄る。
鬼 「や、やめろ!!高かったんだからな!!」
子鬼はがむしゃらにクックIHのレバーを引いて暴走させる。
鬼 「食らえ!スパイラルクロー!!」
無数の風のような斬撃が3人に襲いかかる。
が、女性の力は凄まじかった。
「鎌鼬符!!」
2人はスパイラルクローを掻き消すほどの風を巻き起こした。
その風はクックIHのキャタピラを切り裂いた。
そして、哀れクックIHは勢いよく転がり爆発した。
鬼 「ああ!!俺様のクックIHが!!
貴様らよくもやってくれたな!
俺様の必殺技「メテオ」をお見舞いしてやる!!
お前ら全員道連れだ!!」
子鬼は気合を入れてオーラを発した。
そして、凄まじい轟音が近付いてきた。
すいか帽は同じく気合いを入れて力を溜めだした。
耳が裂けるほどの轟音にも関わらず、すいか帽はタイミングを図る。
そして、先程の爆発で天井に開いた穴から巨大な隕石が見える。
すいか帽「(高揚斬!!)」
すいか帽は隕石に向かって飛び上がり、その剣で隕石を2つに切り裂いた。
速度を失った隕石は空中で一度静止し、そのまま地面に崩れ落ちた。
鬼 「…ごめんなさい。
元に戻してやるから、許してくれよ、な?」
あぷる「私が元に戻っても、うなさんは元に戻らない…」
あぷるは涙を抑えながら言う。
鬼 「何?すいかが食べたい?
りんごよりすいかがいいのか。
すいかにしてやるから、それで許してくれるよな。」
子鬼は言うが早いかあぷるの顔を煙と共にすいかにしてしまった…
あぷる「…すいかが食べたーい!」
鬼 「これでいいよな?それではご機嫌よう」
子鬼は一瞬にして姿を消した…
あぷる「すいかを食べなさい。
え?すいかが食べたい?よく分かってるじゃないの。
すいかは?すいかはどこにあるの?
すいかを探しに行くわよ!」
あぷるはそう言うと地下倉庫を出ていった…
すいか帽がふとかるびの方を見ると、かるびがせっせと何かをしていた。
近付いてみると、そこには大きなハンバーグがあった…
すいか帽は嫌な予感を全身に感じ取った。
かるび「挽肉が落ちていたのでハンバーグを作ってみました。
いただきま〜す♪」
かるびはハンバーグに噛みつく。が、
うな 「いてててて!かじるな!」
聞き覚えのある声。
なんと、ミンチになったうなはかるびの手により復活したのだ。
うな 「俺は生きてるのか?
あぷるは?あぷるはどうなったんだ?
…すいかが食べたい?意味分かんねーよ。」
3人は地下倉庫で一通りあぷるを探した。
そして、あぷるの部屋に戻ると、手紙が置いてあった。
「すいかを探して旅に出ます。
すいかを食べなさい。」
うな 「あぷる…」
あぷるがどこに行ったのかは分からない。
だが、この先また会うことはないだろう。
かるび「まだ何かありますよ」
そこには、赤く輝く竜の玉があった。
少々違和感があったのだが。
うな 「…なんか他のより小さい気が…
気のせいかな?」
その紅い輝きは、りんごだったあぷるの顔を思い出させる。
うな 「…あぷるのことは忘れる。
もう戻ってこないんだからな…多分。」
一瞬うなの目元が僅かに光る。
3人はマルメゾンを後にした。
途中、兵士は一人も見かけなかったし、
りんご屋などどこにもなかった。
噂通りの平和な町だった。
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