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第15話 最低トリオ

あの事件から2日がたった。
3人が希望する物を手に入れるには後2つ竜の玉を手に入れる必要がある。
だが、大陸中、ありそうな場所は全て探したはずである。
うな 「あと2つ残ってるのにどこにもないな…
    もしかして、海の向こうにもあるのかな?」
うなはふとすぐ近くの海を眺めた。
海鳥の鳴き声が空しく響く。
3人に海を渡る方法など無い。
だが、うなは1ヶ所、絶対に無いと思っていた場所を思い出した。
うな 「…ここから西に行った廃墟なんかにあったりしないかな?」
かるび「廃墟に行くんですか?」
うな 「他に行くところ無いし、行くのも悪くないだろ?」
2人は答える必要はないと悟った。

そして、廃墟にたどり着いたのだが、瓦礫の山で上手く歩けない。
所々小さな火が上がっている。
金目の物や食べられそうな物はどこにも見あたらない。
ましてや竜の玉などあるような場所ではないことは言うまでもない。
うな「完全に廃墟だな…
   やっぱり噂通りか。
   竜の玉は諦めるしかないのか…」
と、遠くから話し声が聞こえる。
気付いたのはすいか帽だけ。
すいか帽は一人で瓦礫をかき分けてそちらに向かう。

かるび「うなさん!!」
うな 「何だ!?何か見つかったのか!?」
うなは目を輝かせて振り返る。
かるびが指さしているのは古びた「焼肉屋」の看板である。
うな 「何見つけてんだよ!」
かるび「前はここに焼肉があったんですね…」
うな 「昔はな。今はもう無いみたいだな。」
かるびは物悲しそうな表情でその看板を見つめる。
うなも不覚にも少し同情してしまう。
2人ともすいか帽がいなくなったことなど気付いていない。

そのころ、すいか帽は話し声の主を見つけていた。
少年が6人いる。
だが、六つ子なのか、そっくりだ。いや、全く同じと言った方がいいかもしれない。
すいか帽は面白半分でこっそり彼らの話を聞いていたのだが…
少年左「よし、この作戦で行くぞ。
    長松と久松は喋るハンバーグを、角松と小松はあの女を、
    俺と岩松があの帽子のデブを。いいな。」
少年達「オーケィ!」
すいか帽は嫌な予感がしたので慌てて2人の元に戻っていった。


うな 「あれ?すいか帽、どこ行ってたんだ?
    え?すいかが食べたい?
    ……。」
かるび「向こうから誰か来ます」
うな 「あ、本当だ。」
が、砂煙でよく見えなかった人影がはっきり見えるようになって2人は驚いた。
分身か、クロ−ンか、はたまた蜃気楼か。
全く同じ姿の人間が6人迫って来るではないか。
うな   「だ、誰だお前ら!!」
少年左中間「おいおい、ハンバーグが喋ってるぜ?」
少年一番左「おえ、食えるのかよっ」
うな   「あ、わりぃ、喋っちまったな。」
少年達  「…え?」
少年達はさすがにこのセリフは予測してなかったらしい。
少年左中間「なぁなぁ、そのハンバーグ食わせてくれよ」
かるび  「いいですよ。今なら半額です」
誰がこんなセリフを予測し得ただろうか。
少年達は計画を崩されてもう立ち直れない。
少年一番右「…どうする、石松?」
少年中央右「こうなったら強行突破しかないな…」
うな   「で、お前ら、喋るハンバーグに何のようだ?」
少年中央右「何でお前らがこんな所に来てるかは知らないけど、
      持ち物ありったけよこしてもらおうか」
どうやらこの6人組は3人の持ち物を狙う盗賊らしい。

先程彼らが話していた計画とは、
3人をおちょくって離ればなれにして、1人ずつゆっくり持ち物を盗むという計画だったのだ。
計画をメチャクチャにされて6人は仕方な〜く強盗と化したようだ。
少年中央右「俺の名は石松。後は左から久松・長松・岩松・小松・角松だ。」
うな 「松松うるさいなぁ」
石松 「じゃあ、まずは持ち金を見せてくれよ」
かるび「え〜と、あれ?財布はどこですか?」
うな 「え、もしかして、お前また財布落としたのか?」
かるび「すいかが食べたい?
    財布といっしょに落としてしまいました」
3人はいつもの事なので笑いながら話している。
が、石松達にとっては笑い事ではない。
小松 「何で財布も持たずに旅してるんだ!?」
角松 「こいつら…バカ?」
石松 「いや、嘘言ってるかもしれないぞ…」
かるび「すいか帽さん、あれありますか?」
すいか帽はポケットから先日拾った小さなコインを取り出してかるびに渡した。
黄色く輝き、小さく文字や紋様が掘られている。
6人組「そ、それは!!!」
うな 「え?それがどうかしたのか?」
石松 「い、いや、何でもない。ちょっとよく見せてくれないか?」
かるびは石松にコインを渡したが、石松はそのまま自分のポケットに入れた…
うな 「おいおい〜、こいつら泥棒かよ〜」
もちろん3人ともこのコインの価値を全く知らない。
実は、これ1枚で国を1つ買えるほどの価値があるのだ。
石松 「じゃ、そう言うことで。」
うな 「あぁ、じゃあな。」
6人は何があったかほとんど分からない内に帰っていった。
うな 「よし、竜の玉探すぞ。」
かるび「焼き肉のためです」

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