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かげ魔王がアルティマや乱8撃を使っていますが、
原作のかげ魔王はこの技は使いません…ご了承下さい^^;

第20話 魔王の宴

魔王2人は4人を後目に緊迫した雰囲気だ。
4人は音を立てないように少しずつ後ずさりしている。
この戦いに巻き込まれたら命がいくつあっても足りないだろう。
かぎ魔王「クローズ!!」
かぎ魔王は巨大な鍵を出現させるが、かげ魔王は素早くかわしてかぎ魔王に向かう。
かげ魔王「くらえ!アルティマ!!」
その手から輪のような青い光が放たれ、かぎ魔王に向かうが、同じくかわされる。
その光が当たった地面に大きな穴があいた。
 「乱8撃!!!」
2人の鍵と爪が何度も激しくぶつかり合う。
離れて見ていた4人はその衝撃波で吹き飛ばされそうになる。

かぎ魔王「……」
2人は十分すぎる程距離を置いて話し出す。
かぎ魔王「お前は血を吸う以外に脳がないのか?」
かげ魔王「お前に言われたくないね。
     お前だって血で生きてるくせに?
     まだ本気を出してないってだけだ。」
かぎ魔王「随分なめたマネをしてくれるな。」
かげ魔王「それはこっちのセリフだ!!」
そう言うと彼はかぎ魔王に向かって走り出した。
かげ魔王「俺様をクローズだぁ?……
     無理無理無理!!!」
かげ魔王は叫びながらかぎ魔王に向かって飛んでいく。
かぎ魔王「乱8撃!!」
またも2つの光がぶつかり合う。しかし
かげ魔王「アルティマ!!」
かげ魔王はそのまま至近距離でアルティマを放つ。
両者ともその衝撃で吹き飛ばされる。
が、両者とも空中で回転して体勢を整えて着地する。
さすがは世界7魔王。一撃で力尽きはしない。
かげ魔王「さすがだな、かぎ魔王さんよぉ。
     でもお前の血は人間の血ほど旨くはないからなぁ。」
かぎ魔王「だから何だ?」
かげ魔王「そろそろ飽きたんでね。あいつら人間の血を頂くとするか。」
かぎ魔王「待て!!」
かぎ魔王は向きを変えたかげ魔王に叫ぶ。
かぎ魔王「お前はさっき、
   「お前もあいつらに倒される」って言ったよな?
    つまり、私は強くなったあいつらと戦えるわけだ。
    私と一戦交えるにふさわしいこいつらを、今殺すのは許さん!!」
かげ魔王「フン、お前も変わり者だな。
     そこまで武士道とやらを貫くつもりか?」
かぎ魔王「誰に言われた訳ではない。
     これは私自身の意志だ!」

うな  「…今の聞いたか!?」
タヒチ 「か、かぎ魔王が俺達の味方を!?」
かぎ魔王「おい、うるさいぞお前ら」
まだ4人が安心できる状況ではなかったようだ。
標的がこちらになったことで4人とも先程より硬直してしまう。
かぎ魔王「サレチの男、お前は対象外だ。」
タヒチ 「え…俺?」
かぎ魔王はタヒチの前まで歩いていく。
タヒチはその恐怖に微動だにできない。
かぎ魔王「クローズ!!」
タヒチ 「うわぁぁーーーー!!!………」
タヒチはかぎ魔王の鍵の力により石版に封じられてしまった…。
悲鳴が途切れ、石版の隙間から微かに煙が上がる。
こうなると大変だ。
この場で鍵の力に対抗できるのはタヒチとかぎ魔王だけ。
もうタヒチのクローズを解けるのはかぎ魔王だけだ。
かぎ魔王「安心しろ、殺しはせん。」
かげ魔王「フン、その調子で全員クローズしちまえよ。」
かぎ魔王「そのつもりだが、お前が先だ。」


かるび 「……焼き肉…」
かるびが突然呟き出す。
今にもよだれが垂れ落ちそうだ。
かげ魔王「何だ?何を言い出すんだ?」
かるび 「焼き肉が食べたい…です…。」
もはや目が虚ろだ。
真っ直ぐ立っていられない事も分かる。
うな  「おい!黙れってかるび!おい!」
かげ魔王「…かるび?」
うな  「…え?」
かげ魔王「今確かに「かるび」って言ったな?」
うな  「…?」
かげ魔王「そうか、お前が…。どうりで似てると思った…」
かげ魔王はかるびに歩み寄る。
かるび 「…?」
かげ魔王「あの時の恨み…、忘れたとは言わせないぞ…」
かげ魔王の周りがどす黒く光り出す。
先程までの笑みが完全に消えている。
3人とも全く訳が分からない。
2人の間に何があったのだろうか。
それはかるびも覚えてすらいないようだ。
かるび 「…?」
かるびはいつも通りの、かつ異常なまでのとぼけた表情のままだ。
全く思い出せない、と顔に書いてあるに等しい。
かげ魔王「さぁ、あの時の償いをしてもらおうか…」
かげ魔王は右手を自分の腹の辺りまで上げる。

その時、後ろから響くような低い声が聞こえる。
かぎ魔王「クローズ…」
かげ魔王「なにっ!!?」
ほぼ本能的にかぎ魔王の動きを確認しようと振り返ると同時に、
大きな鍵がかげ魔王の胸に入り込む。
かげ魔王「ぐぁあああああ!!!………」
かげ魔王はクローズされてしまった。
さほど遠くない場所に2つもの石碑が出来上がった。
うな  「…え…?」
3人とも訳が分からない、恐怖の入り交じった表情を崩すことはできないままだ。
かぎ魔王「行け」
うな  「え…?」
かぎ魔王は未だ日の昇らない空を見上げながら呟き始める。
かぎ魔王「竜の玉は…お前達の船に、サレチの男が乗せているはずだ…。
     残りの一つは…オーボン…」
そう言うと、かぎ魔王は風に姿を消した。
タヒチを元に戻してはくれないようだ…

うなとすいか帽が船に飛び乗り、船室の隅にある宝箱に目をやる。
見ると、ここに来る前は開いていなかったはずの蓋が開いている。
すいか帽は宝箱ごと抱えて船から降りた。
うな 「あと1つはオーボンか…」
うなが船から下りながら呟く。
だが、オーボンは既に無い。
もはやこれがオーボンだと言えるのかと疑問に思える。
かるび「あ、階段がありますよ」
瓦礫の山に目をやると、確かに階段らしきものがある。
うな 「あそこにあるのか…
    そう言えば、ここは過去の世界なんだよなぁ?
    歴史はどう変わるのかな…?」
うなの素朴な疑問。
一緒にいる2人はその疑問の意味さえも理解できない。
もっといい仲間がいてもいい気がする。
うなは僅かにそう思えた。
うな 「じゃあな、タヒチ」
うなは冗談交じりに石版の中のタヒチに挨拶するが、もちろん返事は無い。
最後の竜の玉を求めて、3人は歩みを進める。
これから始まる最終決戦に鼓動を高鳴らせながら…

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