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第23話 終わり無き戦い

3人は3つ目の扉に辿り着いた。
すると突然、扉が光の斬撃と共に真っ二つになり、崩れ落ちる。
3人は驚きつつ部屋の中を確認するが、誰もいない。
安心して部屋に入る。
が、ふと後ろを見ると、扉が完全に元通りになっている…
うな 「どうなってるんだ?」
かるび「焼き肉はまだですか?」
うな 「……ん?」
うなが暗い部屋の奥を見ると、大きな鎧が置いてあった。
ゆうに3メートルはあろうか、見たこともない程巨大な鎧だ。
そして、同じく見たこともない大きさの剣を持っている、
こんなものが第3の刺客だとさすがにヤバイな、とうなは冗談交じりに思った。
が、その冗談が本当のことになろうとは…

?? 「よく来た、第3の刺客の待ちし部屋へ…」
どこからともなく声が聞こえてくる。
かるび「焼きに
うな 「誰だ!?」
かるびが叫ぶ前に、うなの拳が彼女の顔にめり込む。
かるび「い…痛いです…ぅ」
うな 「お前は黙ってろ。」
?? 「我は第3の刺客、鉄巨人…
    我らが王の命の下、この先には通さない…」
うな 「我らが王?誰だそれ?」
鉄巨人「愚問だな。我らを倒せば自ずと分かること。
    一戦交えるのみ…。」
うな 「で、お前はどこにいるんだ?」
そう言うと、うなが見ていた鎧が剣を抜く。
剣を構えたまま、軋みながらこちらに歩いてくる。
うな 「行くぞ!」
かるび「燃火符!!」
その炎は鉄巨人に当たるが、その鎧は色すら変わらない。
鉄巨人「その程度か…見損なったぞ…」
そして鉄巨人は剣を構える。
鉄巨人「一閃!!」
鉄巨人が白い閃光となり、視界から消えたかと思うとすいか帽が悲鳴を上げて屈み込む。
脇腹に深く切り込みを入れられ、血が滴り落ちる。
うな 「かるび!!早く回復を…」
うながかるびのいた方向を見ると、同じくかるびも血を流して苦しんでいる。
うな 「ど、どうすれば…」
鉄巨人「次はお前の番だ!」
うなは強い危機感を感じたが、瞬きをした瞬間、
目映い閃光の中に、剣をこちらに向けて飛んでくる鉄巨人の姿を捕らえることができた。
うなは間一髪、横に飛んで攻撃を避けた。
うな 「そうだ、白の風!!」
うなは白く輝く竜巻を巻き起こす。
光に包まれたすいか帽とかるびの傷がみるみる塞がっていく。

鉄巨人「ならばもう一度…一閃!!」
かるび「加護!!」
3人の体が光に包まれる。
その光の中で剣は角度を変え、鉄巨人の攻撃は全て空を切る。
鉄巨人「ならば…グラビーガ!!」
鉄巨人は剣を上に掲げ、そこに黒い光が集まり始める。
そしてそれは巨大な球体となり、すいか帽達に向かって進み始める。
3人はその光に僅かに触れた途端に途轍もない勢いで吹き飛ばされた。
すいか帽、うな、かるびと次々に壁に叩き付けられていく。
その3人に続き、鉄巨人が容赦なく剣の先を向けて飛んで来る。
かるび「凍結符!!」
3人が壁に重なった状態のまま、かるびは早口で呪文を唱えた。
かるびの札から巨大な氷柱が飛び出し、鉄巨人の剣を包み込む。
鉄巨人「な…っ!」
鉄巨人の剣は刃が完全に凍り付き、使い物にならなくなってしまった。


鉄巨人「ここまでやるとは…」
鉄巨人は剣を捨て、素手で構え始めた。
うな 「おいおい、剣無しでどうやって戦うんだよ?」
鉄巨人「剣士とは言え、剣を持たぬまま戦う術も持たねばならん。」
うな 「厄介なヤツだな…」
鉄巨人「我が鋼鉄の拳…、受けて見よ!!」
鉄巨人は斜めに飛びながらこちらに向かってくる。
すいか帽は剣を構え、対称の方向に飛んで間合いを取る。
 「2連撃!!」
剣と拳がぶつかり合う。
1回目は互角のように見えたが、2回目はすいか帽が一歩遅れを取った。
すいか帽の剣が、握られたまま宙に浮かぶ。
隙のできた所を鉄巨人は逃さなかった。
鉄巨人の鉄の拳がすいか帽の腹部を捕らえる。
すいか帽は数メートル吹き飛び、その場に倒れ込んだ。

鉄巨人「さぁ、次の相手は…お前か?」
鉄巨人はうなに冷たい視線を向ける。
うな 「お、おう。
    かるび、すいか帽を頼む!!」
うなは鉄巨人の方向に数歩出る。
かるび「恩恵!!」
かるびの手から白い光が出て、すいか帽を包み込む。
だが彼の意識はまだ戻らない。

鉄巨人「さぁ来い!!」
うな 「くらえ、毒牙!!」
うなは毒牙を手に、素早く鉄巨人の後ろに回り込む。
そして鉄巨人の装甲の隙間に刺す…
が、中に何の感触もない。
唖然とするうなを鉄巨人は払い飛ばす。
うな 「お前…どんな作りになってんだよ…」
鉄巨人「言うまでもないだろう?」
うな 「なら…炎の息!!」
その炎は装甲を焼き付けるが、空しく煤がつくだけだった。
鉄巨人「そろそろ終わりだ!!グラビーガ!!」
今度は鉄巨人は両手を上にかざして黒い光の球を形成する。
そして、その球状の光を放ち、うなを吹き飛ばす。
うな 「いてて…そうだ、かるび!!凍結符をするんだ!!」
かるび「…凍結符!!」
かるびの札から氷柱が飛び出て、先程の炎で熱せられた鉄巨人の装甲を一気に冷やす。
鉄巨人「ま、まさか…」
急激な温度の変化に耐えられなくなったその装甲は音を立てて砕け散る。
鉄巨人「見事……」
そして、遅れて起き上がったすいか帽の帽子に飛んできた鍵が当たる。

うな 「これで3人目…
    次も油断するなよ。」
かるび「もうすぐ焼き肉が…」
うな 「ああ、そうだな」
3人は扉を開けると、また進んでいった。
竜の玉への道が着実に短くなっていく。

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