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第13話 潜入

窓からカーテン越しに見える青空。
日が少し傾いてきたようだ。
うな 「……大丈夫か?」
りんご「あれ?ここはどこ?」
りんご夫人は正気に戻ったようだ。
りんご「私はあぷる。あなた達は誰?」
うな 「俺はうな。この2人は俺の子分だ。」
うなは2人の視線も気にせずにそう言った。
あぷる「ありがとう、うなさん。
    …でも、私は一体どうなってしまっていたの?」
かるび「あなたの顔がりんごになってます」
あぷる「りんご?そう言われてみればりんごみたいですね。」
あぷるは完全に混乱してしまった。
あぷる「えー!?何で顔がりんごになってるんですか!?」
うな 「顔がりんごになった時のこと覚えてないのか?」
あぷる「…そうです、思い出しました。
   私は地下倉庫を掃除してました。
   そしたら、後ろから声がしたんです。「お前の好きな物は何だ?」って。
   私はりんごって答えたんですが、その後のことは覚えてないです…」
うな 「地下倉庫が怪しいな。」
あぷる「私を元に戻してくれるんですか?」
うな 「ああ、多分な。」
あぷる「お願いします。りんごのケーキを焼いて待ってますね。」
3人は地下倉庫に入っていった。


地下倉庫にはこれといった物はないように見える。
すいか帽は何気なく本を一冊本棚から出して開いてみる。
「この世界には、5つの海と4つの大陸と6つの城がある」
すいか帽はよく読まない内にその本を本棚に戻した。
同じような本ばかりでないのが救いのようだ。
そして、3人は例の場所に着いた。
すると、後ろから…
あぷる「うなさん!」
うな 「あぷる!?なんでこんな所まで来るんだよ!」
あぷる「ごめんなさい、うなさんが心配だったから…」
あぷるはりんごを1つ持っていた。
ケーキを作っている途中で急に心配になり、ここまで来たようだ。
うな 「俺のことは心配するな。
    すぐ戻るから待っていろ。」

と、すぐまた後ろから声が聞こえた。
???「お前の好きな物は何だ?」
あぷるが言っていたセリフだ。
かるび「私は焼き肉が大好きです!」
すると、4人の前に太った子鬼が現れた。
鬼  「そうか、じゃあお前ら焼き肉になりたいわけだな。」
うな 「別に焼き肉になんかなりたかねーよ。」
鬼  「何!?焼き肉好きなんだろ!?焼き肉になっちゃえよ!」
うな 「意味分かんねーよ。」
かるび「私を焼き肉にして下さい」

あぷる「私を元に戻して下さい!」
鬼  「え?折角俺様がりんごにしてやったのに?
    元に戻りたいって言うのか?」
あぷる「私はなりたくてこんな顔になったんじゃありません!」
鬼  「仕方ないな、戻してやろうか」
鬼は何やら呪文を唱え始めた。しかし、
かるび「私を焼き肉にして下さい!」
うな 「おい!かるび、何言ってんだよ!!」
鬼  「ちょ、ちょっと待て!おい!呪文が分からなくなったじゃねーか!!」
かるび「私は焼き肉になりたい」
うな 「焼き肉になったって焼き肉は食べられないぞ」
2人のペースに惑わされ、子鬼は声を裏返しながら怒鳴る。
鬼  「お前らうるさいんだよ!!
    もう怒った!感謝しろ、今からお前らをミンチにしてやる!!」
うな 「ミンチ?」
鬼  「出よ!!クックIH!!」
子鬼がそう叫ぶと、なんと壁を突き破って巨大な物体が現れた!!
まるでキャタピラのついたミキサーだ。
子鬼はその機械の上に乗ると不適な笑みを浮かべる。

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