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第22話 幸運の戦士達

うなが勢いよく扉を開ける。
うな 「次はどいつだ!!かかって来い!!」
勢いに任せて叫ぶが、誰もいない。
うな 「…ん?誰もいないぞ?」
勇気を出して叫んだが反応が無かったのでうなは少し気落ちしてしまう。

かるび 「さっきと同じ形の部屋ですね。」
うな  「あぁ。…ん?何か違わないか?」
どう見ても違う。
部屋の隅に中途半端な大きさの壁が突出してある。
それも、他の壁とは明らかに色が違う。
青いのだ。
うな  「あそこに隠れてるのか?」
その壁に近付き、つついてみる。
うな  「お〜い、次の部屋に行きたいんだけどさ〜。」
かるび 「どこかにおいしい焼き肉屋は無いですか?」
すると、壁が音を立てて動き出した!
うな  「な、何だ!?」
かるび 「きゃあ!! か、壁が動いてます!!」
3人とも驚きで青ざめてしまう。
壁   「よく来たな、お前ら。
     俺様はこのダンジョンの第二の刺客、青塗り壁様だ!」
その壁はそう言うと、壁に目と口が浮き出た。
さらには手まで生えてきた。
青塗り壁「お前、俺様をつつくとはいい度胸だな。」
うな  「き、気付く訳無いだろ!!そんなもの!!」
この言い訳にもやや無理があるが。
青塗り壁「で、次の部屋に行きたいんだろ?
     だったら俺様を倒してみなよ。」
うな  「望むところだ!!」

かるび 「鎌鼬符!!」
かるびは短く呪文を唱えて青塗り壁に風の斬撃を放つ。
だが、青塗り壁には傷一つつかない。
青塗り壁「何だぁ?痛くも痒くもねぇぜ?」
うな  「ちくしょう、この石頭野郎め…」
青塗り壁「何か言ったか?挽肉野郎」
うな  「グググ…言いやがったな!!」
うなは青塗り壁に向かって走る。
だが、青塗り壁の手がうなを払い飛ばす。
うなは勢いよく壁にたたきつけられる。
青塗り壁「どうした?それでよくあのアボカドを倒せたな。
     ま、あいつは俺達の中で一番弱いんだけどな。」
うな  「こいつ…つえぇ…」
青塗り壁「おっと、今のでそんなんじゃ、後々ヤバイぜ?
     ま、今倒してしまえば問題ないか…石つぶて!!」
青塗り壁の両手から無数の石が飛んできた!
うな  「すいか帽!あれをやるんだ!!」
すいか帽「ゴーレム!!」
地中から現れたゴーレムによって、その石をかわすことができた。
青塗り壁「…なかなかやるじゃねーか」

かるび 「幸運符!」
かるびが飛ばした札が3人の頭上で止まり、
そこから温かい光が射し込む。
うな  「な、何だこれ?」
かるび 「運が良くなるらしいです。」
中途半端な回答に、その場の緊張感が揺らいでしまう。
うな  「誰に聞いたんだ?」
かるび 「…分かりません」
うな  「うわっ、気になる…」
青塗り壁「運?俺様に運だけで勝つつもりか?」
うな  「どうだろうな。」
すいか帽は剣を構え、青塗り壁に向かって走る。
そして剣を振る。
今度はかなり傷を入れることができた。
青塗り壁「ぐおぉ…、何しやがる!!」
青塗り壁は着地したすいか帽に拳を振るう。
…が、幸運にもすいか帽の頭上をかすめただけだった。
青塗り壁「な、何…」
うな  「やっちまえ、すいか帽!!」
すいか帽は再び剣を構える。だが
青塗り壁「させるか、沸きひよこ!!」
すいか帽は、地面から無数の小さなひよこのようなものが沸き上がってくる光景を目にし、
突然頭を柔らかい物に覆われたような感覚に陥った。
だが、2人の目にはその様子は全く映らない。
すいか帽「!??」
うな  「な、何だ…?」
すいか帽の動きが一度止まり、そしてこちらを向く。
その目は既に焦点が合っていない。
うな  「す、すいか帽…?」
そして、すいか帽は剣を構えたままこちらに向かって走ってくる!
うな  「な、何するんだよ!!」
すいか帽はうなに向かって何度も剣を振る。
うなは全て間一髪でかわし、後ろに飛び跳ねる。
うな  「目を覚ませ!縛り糸!!」
うなは糸のような粘体を繰り出し、すいか帽の足に絡ませ、後ろに転ばせる。
起き上がったすいか帽は、もう我に返ったようだ。
すいか帽は三度剣を構えると、素早く青塗り壁の後ろに回り込む。
すいか帽「氷斬破!!!」
すいか帽の剣から冷気が吹き出し、青塗り壁のすぐ横を白い斬撃が通り過ぎる。
青塗り壁「負けた…ぜ…」
次の瞬間、青塗り壁は真っ二つに割れ、床に崩れ落ちた。

かるび「何かありますよ。」
2つに割れた青塗り壁の中に、小さく金色に輝く物が確認できた。
どうやら鍵のようだ。
うな 「これで次の部屋に行けるんだな。」
うなは鍵を拾い上げ、扉を開ける。
この廊下の先に、第3の刺客が待ち受ける。
3人は願いを叶えるためにと奥に奥に進んでいく。

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